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天地無用


アートな秋(民藝編)

もう2週間くらい前のことになりますが、
どうしても見たい展示がありまして、
風邪っぴきの鼻をズビズビいわせながら美術館に行ってきました。
著名工業デザイナーの柳宗理さんの父上、
柳宗悦の企画展です。

アートな秋(民藝編)_c0031581_15585567.jpg宗悦が蒐集した日本や朝鮮の日常的な工芸品の数々、質素な木彫りの仏像などに、宗悦が雑誌に寄稿した文章を解説として添える形態。
宗悦に関わりの深いバーナード・リーチ、棟方志功らの作品も共に展示されており、ボリュームも充実した展示でした。

大好きな白磁の器だとか螺鈿細工の小机なんかは見ていて楽しかったし、沖縄の紅型の独特で鮮烈な色柄使い、実用性という観点から下部が幅広になっている鉄瓶など、「絵画」よりも「立体」が好きな私には特に興味をそそるものばかりで気分は大満足。



しかーししかーし。
私が一番感銘を受けたのは陶器よりも茶道具よりも何よりも、
柳宗悦という人が書いた文章だったのです。
思想家たる所以か、展示品の傍らに添えられた宗悦の文章は、
自身が読んで、聞いて、行って、見て得た膨大な「情報」「知識」「事実」を基に、
民衆的工芸品のバックにある社会情勢だとか宗教的・民族的倫理感だとか
そういった類のものが論理的に織り交ぜられ、
時には自身の考えに対して生じうる反論を投げかけたりもして、
読んでいるこちらはひたすら
「ふんふん、なるほど、そうなのねー」
と納得させられてしまうのです。

したがってそのような文章が添付された展示品に興味をそそられないわけがなく、
それが何故そのような様式であって何故美しさを感じるのか、
一つ一つしっかりと理解しながら鑑賞することができるのです。
うーん、柳宗悦ってすごい。
(余談ですが、
柳宗悦が当時の「職人」が「美」を意識せずに作った実用品に「美」を感じたことを受けて
息子の柳宗理が自ら「用の美」を意識して作品を作り多数の支持を得ているというのは、
素人ながらとても興味深いことだと思います。)

というわけで、
宗悦は書籍も多数執筆しているようなので、
熱が冷めやらぬうちに何かしら読もうと思っておるところです。
(未読の本がたくさん溜まっているというのに…懲りないなぁ。)
by dangoda | 2005-10-22 16:06 | ほんえいがおんがくなど

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どうもありがとーう!!
by dangoda
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